子どもの権利に関する条例

(平成14年4月1日)

前文

 子どもは、個性が認められ、喜びや悲しみを共有できる家族や友達の温もりのなかで、健やかに遊び、学び、生きることを願っています。そのことは、子どもが一人の人間として、温かい情、やろうとする意欲、豊かな創造性を持ち続け、もっとも人間らしい生き方の基礎・基本を培うことにつながります。
 奈井江町の子どもが、もっとも人間らしく生きるためには、子どもの最善の利益の確保、差別の禁止、子どもの意見の尊重などの国際条約の原則の基で、町民の誓い、奈井江町教育目標、青少年健全育成の町宣言との整合性を図りながら、子どもの権利保障に向けた環境づくりに総合的に取り組み、かつ、現実に保障していくことが必要です。
 それは「未来からの使者」である子どもにとって「自然環境の保全」「異文化との共生」「恒久平和の願い」とともに、自らの人格の形成にかかわる非常に大切なものだからです。
町及び町民は、すべての子どもの権利を保障し、幸福に暮らせる町づくりを進めるために、家庭、学校、地域が互いに連携して、大人と子どもそれぞれが役割と責任を自覚し、公徳心をもって社会規範を守り、互いに学び、共に育ち、協働することが必要です。
 子どもは、大人とともに社会を構成するパートナーとして大人に認められ、さまざまな権利が保障されるなかで、他者の権利を尊重する姿勢や責任感などを身につけます。
 一方、大人は子ども自らが想像的な子ども文化を育み、時代を担う人間として成長していけるよう、愛情と理解をもって見守り、励まし、育てて行くことが大切です。
 町及び町民は、協働して、子育てに夢を持ち、子どもが幸福に暮らせる町づくりを進めることを決意し、この条例を制定します。

第1条 目的

 この条例は、奈井江町で育つ子どもにとって、最善の利益が尊重されるとともに、子どもの自己形成を支援するための基本理念を定め、町及び町民の役割を明らかにすることにより、子どもの権利を保障し、すべての子どもが幸福に暮らせる町づくりを進めることを目的とする。

第2条 定義

 この条例において「子ども」とは、18歳未満のすべての者をいう。

第3条 基本理念

 町及び町民は、奈井江町の子どもを育てるにあたり、子どもの権利を尊重し、子どもの幸福を追求する権利の保障に努めるものとする。

2  子どもは、その権利が保障され、豊かな人間性を養うことにより、自らを律し、主体的に判断してその責任を果たし、自分らしく生きることを支援される。

3  町及び町民は、すべての子どもが幸福に暮らせる町づくりをめざし、子どもと協働する。

4  町民は、安心して子どもを育てることができるよう支援される。

第4条 町の役割

 町は、基本理念に基づき、子どもの権利を尊重し、あらゆる施策を通してその保障に努めるものとする。

2  町は、子どもの権利の保障に向け、町民の理解を深めるために、積極的に広報活動に努めるものとする。(町民の役割)

第5条 町民の役割

 町民は、自らが子どもの成育に大きく関わっていることを理解と自覚をし、子どもの権利保障と子どもが幸福に暮らせる町づくりに努めるものとする。

2  保護者は、子どもの成育に第一義的責任を有し、家庭が子どもの人格形成に大きな役割を果たしていることを理解し、子どもを育てることに最善を尽くすとともに、子どもの権利の保障に努めるものとする。

第6条 子どもの生きる権利

 子どもは、健やかに安心して生きるために、主として次のことが保障される。
(1) 命が守られ、尊重されること。
(2) あらゆる形態の差別や暴力を受けず、放任されないこと。
(3) 健康に配慮され、適切な医療が受けられること。
(4) 愛情と理解をもって育まれ、成長にふさわしい環境で生活できること。

第7条 子どもの育つ権利

 子どもは、自分らしく生き、豊かな子ども時代を過ごすために、主として次のことが保障される。
(1) 個性が認められ、人格が尊重されること。
(2) ゆとりとやすらぎの時間・空間的保障がされること。
(3) 成長に必要な情報の入手や活用ができること。
(4) 自分の将来に係わることについて、適切な助言や支援を受けられること。

第8条 子どもの守られる権利

 子どもは、自分を守り、守られるために、主として次のことが保障される。
(1) あらゆる権利の侵害から逃れられること。
(2) 成長が阻害される状況から保護されること。
(3) 秘密が守られ、誇りを傷つけられないこと。
(4) 子どもであることをもって不当な扱いを受けないこと。

第9条 子どもの参加する権利

 子どもは、自ら社会に参加するために、主として次のことが保障される。
(1) 自己表現や意見の表明ができ、それが尊重されること。
(2) 仲間をつくり、仲間と集うこと。
(3) 社会に参画し、意見を生かされる機会があること。
(4) 社会参加に際して、適切な支援を受けられること。

第10条 子どもの成育環境の保全

 町は、子どもの権利の保障が図られるよう、子どもの意見を広く聴きながら子どもが自ら育ち、遊び、学べる環境の整備や自然環境の保全に努めるものとする。

2 町は、子どもの成育環境の整備に努めるために、町民その他の関係機関との調整を行うものとする。

第11条 子育て支援

 町は、保護者が子どもを育てるにあたり、必要に応じて経済的な支援または社会的な支援を行うこととする。

2  町は、子ども自身が抱える問題や子どもに関する相談に対して、すみやかに対応するよう努めるものとする。

第12条 学校・幼稚園・保育所

 学校・幼稚園・保育所の機関は、子どもの豊かな人間性と多様な能力を育むために重要な場であることを認識し、子どもの有するさまざまな権利が保障されるよう自らその役割を点検し、評価するよう努めるものとする。

2  学校・幼稚園・保育所の機関は、保護者や地域の町民に積極的に情報を提供し、その運営について意見を聴き、協力を受けるなど、開かれた学校・幼稚園・保育所づくりの推進に努めるものとする。

第13条 子どもの社会参加

 町及び町民は、子どもの社会参加の機会の確保に努めるものとする。

2 町は、子どもの意見を聴くために、各種の学校をはじめあらゆる子どもの参加のもと、子ども会議を開催する。

3 町は、子ども会議が自主的・自発的に運営されるよう支援し、子どもの総意としてまとめられた意見を尊重し、その実現に努める。

第14条 子どもの活動や町民活動の支援

 町は、子どもが安心して集い、その自主的な活動や町民の子どもに関する活動を奨励し、支援するものとする。

第15条 相互支援

 町は、すべての子どもの権利を保障し、幸福に暮らせる町づくりを進めるために、町民その他の関係機関との相互連携を積極的に支援するものとする。

第16条 救済

 町は、子どもの権利の侵害その他の不利益を受けた場合、迅速かつ適切な救済を組織的に行い、その権利回復に努めるものとする。

2 町は、救済及び権利回復のための組織として、救済委員会を設置する。

第17条 推進体制

 町は、すべての子どもの権利を保障し、幸福に暮らせる町づくりを進めるために、総合的な推進体制の整備と充実に努めるものとする。

第18条 委任

 この条例の施行に関し必要な事項は、町長その他の執行機関が定める。
附 則
この条例は、平成14年4月1日から施行する。   
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